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2022.04.20
最近、コロナで社会がすっかり変わった。コロナ・パンデミックは人々の生活を変え、ストレスや心配症など精神的にも大きな影響を与えている。そうした中で、健康を維持するためにも精面での安定を求める人が増えている。ニールセンの調査によると、世界の消費者の35% がコロナによって精神面で悪い影響を受けているとしている。同じ調査では世界の女性のほぼ半分の人が精神的な健康が重要であると感じている。コロナ・パンデミック以前から、高齢化社会が進んでおり、認知症やアルツハイマーにならないで、脳の健全な機能を保ちたいと思っている人も多い。若い人であっても仕事あるいは個人的な生活で、できるだけシャープな感覚を保ちたい、記憶力をあげたいと思っている人が多い。脳の機能は身体全体の機能にも関係しているので、より健康で活発な生活を送るために大事な機能である。
脳の機能を維持あるいは高める食品とはどのようなものであろうか。最近、ニュートロピックという言葉がよく使われている。これは認識力や集中力など脳の機能を上げるサプリメント、薬、その他の物質で、記憶力の向上、集中力、注意力の向上、学習能力の向上、言語表現力の向上、分析的思考力の向上、メンタルなエネルギーの増加、発想力の向上、ストレスの減少、認識力低下の防止など、様々な効果が期待されているものである。また、不眠症の改善も脳の機能が関係している。サプリメントや薬でなくても普通の食品にもニュートロピックの効果を持つ成分が比較的多く含まれており、そうした効果が期待される食品がある。 それらは、(写真1)にあるような、オメガー3‐脂肪酸が多い魚、フラボノールが多く含まれているココアやチョコレート、レスベラトロールが含まれている赤ワイン、カフェインやテアニンが含まれている緑茶、MTC(中鎖脂肪酸) の含まれているココナッツ油、コリン(人の身体でアセチルコリンに変換される)が含まれている卵、神経細胞が増えるのを助けるターメリックやショウガ、ルテインやゼアキサンチンが含まれるホウレンソウなどである。こうした食品群を多く食べていると認識力や記憶力が向上し、また精神的にも落ち着き、よく眠れるなどの効果があるとされている。ただ、こうした食品がいいからと言って毎日毎日多く食べると栄養偏向になり、かえって悪い影響が出るので、常に栄養バランスの取れた食事の中に組み入れるようにすることが大事である。
サプリメントでは多くニュートロピック効果があるとする製品が出されている。そうした製品に使われている成分としては、次のようなものがある。
[カフェイン] カフェインはコーヒ、ココア、緑茶、コーラナッツなどに含まれている。脳をリラックスさせ、疲れを感じさせる神経伝達物質のアデノシン受容体をブロックすることで、疲労感を軽減、注意力、集中力をあげ、反応時間を短くするという効果がある。カフェインはまた血中のアドレナリン量を増やし、脳内で神経伝達物質ドーパミンとノルエピネフィリンの活性をあげることで、精神を高揚させる作用、眠気を覚ます興奮作用、自律神経の働きを高める作用、運動能力を向上させる作用など様々な効果があることが示されている。カフェインには利尿作用もある。カフェインの適切な摂取量にはいろいろな説があるが、コーヒを1日3カップ以上飲んでいる人にはアルツハイマー症やパーキンソン病などの脳の病気になるリスクが 28-60% 低くなるという研究結果も出されている(文献 1-4)。また、コーヒを1-4カップ飲む男性、女性で心臓病のリスクが16-18% 低くなるというデータ(文献5)や、2-4カップのコーヒあるいは緑茶を飲む人は脳卒中のリスクが14-20% 低くなるデータ(文献6,7)も出されている。カフェインの安全な摂取量はアメリカ農務省、欧州食品安全機関 (EFSA) では1日最大400mgとしており、これはコーヒ2-4カップに相当する。
[L-テアニン] 緑茶、紅茶、あるいはキノコの一部に含まれている成分でアミノ酸の1つである。低い温度でゆっくりと出したお茶には多く含まれている。テアニンは精神を落ち着かせる効果(文献8)、ストレスや不安感を少なくする効果(文献9)があると言われている。テアニン(97mg)とカフェイン(40mg) を合わせたものでは、データは少ないが大人の若い人で集中力が高まるという結果が得られている(文献10,11)。注意欠如・多動症の男の子で睡眠の改善効果があるとされているデータ(文献12)もあるが、さらなる研究が望まれている。
[クレアチン] クレアチンは身体がたんぱく質を作る際に使われるアミノ酸で、筋肉を作り強化するためにボディビルディングなどでよく使われるが、クレアチンは脳に入ってリン酸塩と結合し、脳細胞のエネルギーとして使用される。脳細胞のエネルギーが増えると短期記憶がよくなり、肉を食べないベジタリアンやストレスの高い人にクレアチンを摂取させると説明能力が上がることが示されている(文献13)。高年齢層でクレアチンをサプリメントとして2週間摂取すると、記憶力、記憶再生力が増加することも示されている(文献14)。
[GABA] ガンマ・アミノ酪酸は不安感に関係する脳のシグナル伝達物質を抑制して、気分を落ち着かせリラックスさせる効果や睡眠効果があるとされている(文献15,16)。
[フォスファチジルセリン] この成分は大豆、卵の黄身、レバーなどに含まれており、脳のニューロンを健全に保つために必要なものとされており、記憶力を保ち、脳神経の柔軟さを保つのに有用とされている(文献17)。FDAはフォスファチジルセリンが持つとされる認識力や記憶力保持の効果や認知症発症リスクの低下に関する効果を、条件付き(「科学的証明はまだ不十分であるが」という説明を加えて表示)で商品パッケージ等に表示することを認めている。さらなる臨床的な研究が必要であるとされている。運動の際のストレスや、運動しすぎによる悪い影響を軽減することも示されているが、まだ確実ではない。アルツハイマー病や年齢による記憶力の減少や思考力の低下の治療にも使われているが、その効果が確実には証明されてはいない。
[CDP‐コリン] シチコリンとも呼ばれ、シチジル二リン酸 (CDP) にコリンが結合したもので、体内にある脳内物質で、脳のニューロトランスミッターであるアセチルコリンの合成に利用される。日本、ヨーロッパでは脳梗塞の患者の記憶や思考などの脳機能を改善するために処方薬として用いられているが、アメリカではサプリメントとして販売されている。また脳機能に重要なフォスファチジルコリンの量を増やす効果がいくつかの研究で示されているが、確実なデータではなく、さらなる研究が必要とされている(文献18)。
[コリン‐2‐酒石酸塩] コリンが酒石酸と結合したもので、上述のCDP-コリンと同じようにアセチルコリンの合成に利用される。また肝臓や心臓の健康にも関係し、抗炎症作用もあり、体重を減らすのにも効果があるとされている。レバー、肉、ホウレンソウ、エンドウ豆、卵、麦の胚芽、魚、ナッツなどにも含まれている。余り摂り過ぎると副反応がある。
[バコパ・モンニエリ] これはブラフミーとも呼ばれる水草で、そのエキスはアユール・ベーダーでも使われており、認識力や記憶力が向上するとする研究がいくつか出されている。しかし、このボタニカルの神経薬学的な効果については、これまで動物実験や試験管試験による研究が主で、人については限られた研究で示されているだけで、さらなる研究が必要とされている(文献19)。
[フペルジンA] トウゲシバという草に含まれているアルカロイドで、アセチルコリン・エステラーゼ阻害剤であり、アルツハイマーの治療に効果があるという中国での研究もある。いくつかの研究では記憶力の向上などに効果があるとされているが、レビュー研究ではその効果はあまり示されていない(文献20)。製薬会社がこれをアルツハイマーの薬として試験をしたが中止されている。
マグネシウム: マグネシウムは筋肉や神経のコントロールなど身体の多くの機能に関係しており、気持ちを落ち着かせる機能に関係する神経伝達物質を活性化し、ストレスや睡眠を改善する可能性が示唆されている。マグネシウムが不足していると、精神的なストレスやそれに関連する諸症状を引き起こすことがいくつかの研究で示されている。
その他の栄養成分にも脳機能に関係するものがあり、こうした成分が複合的に使われているサプリメントが最近店頭に多く並んでおり、消費者の関心も高まっている。そのいくつかの例をここに上げてみる。ほとんどのサプリメント製品は上にあげた成分などを中心に、他の機能性成分を混ぜたものである。
Opti-Nutra社の “Mind Lab Pro”(写真1) は、ビタミンB6(ピリドキシン)、 B9(葉酸)、B12(シアノコバラミン)、シチコリン(“Cognizin®”)、バコパ・モンニエリ・エキス、ヤマブシタケ、フォスファチジルセリン、N‐アセチル-L‐チロシン、L-テアニン、ロディオラ・ロゼア、海洋松樹皮エキス(プロアントシアニジン)が活性物質として使われている。この会社は、活性成分の効果をきちんと検証している原料メーカーからのみ原料を買っているとしている。
Onnit社の “Alpha Brain”(写真2) は、活性成分としては、ビタミンB6、L-チロシン、L-テアニン、オーツ麦茎エキス、フォスファチジルセリン、キャッツ・クロー・エキス、“Onni Focus Blend”【L-アルファ・グリセリルフォスフォリルコリン(アルファGPC)、バコパ・モンニエリ・エキス、トウゲシバ・エキス(フペルジンA 1%)】、“Onni Fuel Blend”(L-ロイシン、プテロスチルベン)が入っている。

Snap Supplements社の “Brain Food” (写真3)には、ビタミン B1(サイアミン),B2(リボフラビン),B3(ナイアシンアミド),B6(ピリドキシン),B12(シアノコバラミン)、葉酸,パントテン酸、クロミウム、“Surge Plus Blend”【コリン酒石酸塩、N‐アセチル-L‐チロシン、L-テアミン、N‐アセチ-L-カルニチン、DMAE(ジメチルアミノエタノール)、アルファ・リポ酸】、“Herbal Focus Blend”【バコパ・モンニエリ・エキス、緑茶エキス、ボスウェラセラータ(オリバナム)・エキス、キャッツ・クロ―樹皮粉末、ギンコ・ビローバ・エキス、フペルジンA】が活性物質として含まれている。

これら以外にも多くの脳機能のサプリメントが販売されている。サプリメントを購入するときは、製品の評判、あるいはその会社のニュース、成分についての知識を得て、できるだけ信頼できる会社の製品を買うようにすることが大事である。また、サプリメントが自分の身体に合うかどうか、医薬などを服用しているときは、医薬との相互作用などを自分で調べるか、医者に相談して問題が起こらないように気を付ける必要がある。
(文献)
1.The Journal of Nutrition, Health, & Aging, Vol.18, p.383 (2014)
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19. Rejuvenation Res., Vol.16, No.4, p.313 (2013)
20. Front aging Neurosci, Vol.6, p.216 (2014)
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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