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2021.12.10
この新しいコラムではアメリカを中心とした世界の健康市場の動きを観察しながら、健康に関係する食品について書いていくことにする。世界はこの約2年間、コロナのパンデミックで大きく変わってしまった。日本でもつい最近まで色々な生活の制限をせざるを得なかったし、一方ではいまだに多くの患者が出ていて、自由に動くことも制限されている国がある。食生活にも大きな変化をもたらした。世界の食品市場における健康志向はパンデミック前から進んでいたが、それがさらに健康に対する意識の増加を引き起こし、より健康でいられるための食品を求めるようになってきている。こうした健康志向はパンデミックが世界で収まっても続くと考えられる。人々は自分が食べる食品が自分の健康に直接関係していることをさらに強く認識するようになったからである。
コロナだけではなく病気にかからないようにするには自分の免疫力を高めることが大事である。そのために昨年の2020年の3月ごろから免疫力に関係する食品がよく売れるようになった。免疫力を高める最も重要な身体の器官は消化器系で、特に胃と腸は消化された食品からの栄養を吸収し、身体に栄養素を運ぶ重要な出発点である。腸には食物を分解する多くの種類の細菌(腸内細菌叢といわれる)が住んでいる。厚生労働省のe-ヘルスネット(1)「腸内細菌と健康」には、「腸内には約1,000種類、100兆個の菌がおり、その菌には善玉菌と呼ばれる身体にいい菌と、悪玉菌、何もしない菌があり、善玉菌の割合を高く維持することが大事である。」と書かれており、さらには、「悪玉菌は、たんぱく質や脂質が中心の食事・不規則な生活・各種のストレス・便秘などが原因で腸内に増えてきます。腸内細菌は肥満、糖尿病、大腸がん、動脈硬化症、炎症性腸疾患などの疾患と密接な関係があり、これらの患者の腸内細菌は健常者と比べて著しく変化していることが知られています。」と説明されている。身体を健康に保つための免疫力と腸内細菌叢の関係は色々な研究で示されており、ビフィズス菌などの善玉菌を多くするために、善玉の腸内菌、プロバイオティックスと呼ばれる菌が入った製品や、腸内菌の餌となるオリゴ糖などのプレバイオティックス、食物繊維などを摂取することが必要である。最近の研究(2)では、プロバイオティックスを摂取しても個人によってその菌の腸内での定着の度合いが異なるということも示されている。しかし、プロバイオティックスを摂取することは健康にプラスにはなってもマイナスにはならないようである。
(1) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
(2) Cell https://doi.org/10.1016/J.CELL.2018.08.041
コロナパンデミックが起きた直後の昨年3月1ヵ月間でプロバイオティックスの入ったヨーグルト製品は一時的に42%も伸びている。その後、伸び率は落ちたが、ヨーグルト製品は免疫力を高める食品として以前よりも食べられるようになっている。ヨーグルト製品で興味ある製品をここで取り上げてみる。アメリカのヨーグルト製品市場ではグリーク・ヨーグルト(日本ではギリシャ・ヨーグルト)といわれる普通のヨーグルトからホエイと水分を除いて濃縮した製品がヨーグルトの棚のほぼ半分を占めている。グリーク・ヨーグルトはプロテインが普通のヨーグルトに比べて多く含まれており、より健康的といえるであろう。グリーク・ヨーグルトでもいろいろな変化を与えて他の商品と差をつけるマーケティングがされている。Dannon USA社は“OIKOS” ブランドで “Triple Zero Blended Greek Yogurt”(写真1) を出している。これは砂糖を使用せず、人工甘味料も使用せず、脂肪がゼロであるということを強調している。 砂糖分は自然に牛乳に含まれるラクトースがあるので、1サービング(150g)に5gが含まれており、ゼロではない。プロテインは15gが入っている。砂糖を加えていないと表示するのは、最近健康のために砂糖の摂取を減らす人が増えており、そうした人たちにアピールするためである。さらにプロテインの量を多くしたグリーク・ヨーグルト “ratio Protein”(写真2)という製品をGeneral Mills社が出している。これにはプロテインが1サービング(150g)に25gが含まれている。これには濃縮ホエイ・プロテインが加えられている。甘味を上げるために砂糖ではなくエリスリトールとスクラロースを使用しているので、砂糖分は牛乳からの3gのみである。
普通のヨーグルトにもマーケティングで他の製品と差をつけようとする製品が出されている。Group Danoneはフランスで1987年に “Bio” ブランドのヨーグルトを出したが、これには普通に使われるヨーグルト発酵菌の他に、会社の研究者が見つけ出した酸性条件でも生存する独自のビフィズス菌の菌種が加えられており、消化器系を正常に戻すという健康クレイムを表示した機能性製品であった。Dannon USA社は2003年に “Activia”(写真3)のブランドで新製品を発売し、消費者に2週間食べ続けて消化器系を正常に戻して免疫力を上げようと訴えるチャレンジ・キャンペーンを行い、もしよくならなければ払い戻しをするという広告まで出した。この健康クレイムはヨーロッパでもアメリカでも行政から表示についての科学的に確かな証拠を要求され、その要求を受けて会社が提示した証拠は根拠として不十分であると指摘された。会社は17の研究で確かな証拠が示されているとしたが、行政側はそのうち2つは統計的に優位でなく、さらに6つの研究では実証実験期間内に有意な改善効果が認められなかったとしている。こうした批判からDanone Groupは健康効能表示をやめ、現在では「消化器系の健康を維持する」という表示をしている。この問題でアメリカでは集団訴訟を起こされ、会社は3,500万ドルを支払っている。
ヨーグルトは世界中で食されており、グリーク・ヨーグルトのように多くの地域で異なった製品が販売されている例も少なくない。アメリカで販売されている製品の一例として、グリーク・ヨーグルトよりさらに濃縮されクリーミーな “Skyr” と呼ばれるアイスランド・スタイルのヨーグルトがあり、その代表的な製品が “Sigggi's” ブランド(写真4)から出されている。
ヨーグルトは主に乳酸菌とストレプトコッカス・サーモフィリス菌を使って牛乳を発酵させたものであるが、ビフィズス菌を加えたものもある。ヨーグルトは飲めるようにした製品も多く出されている。ケフィアはコーカサス地方で作られていたヨーグルト風の飲料で、ケフィア・グレインと呼ばれる特定の混合菌(酢酸菌、イースト菌、いくつかの乳酸菌)を使って牛乳、羊乳、ゴート乳などを発酵させたものである。現在では世界中で販売されているが、アメリカではウクライナ移民の作ったLifeway社が “Kefir”(写真5)という製品を1986年以来販売している。
アーモンドミルク、豆乳、オーツミルク、カシュ-・ミルク、ココナッツ・ミルクなどの植物性ミルクを使って作られたヨーグルト代替製品も多く出されている。これらはラクトース不耐性の人や牛乳にアレルギーのある人、また一般の人にも食べられている。非常に興味深いものではスーパーフードのピル・ナッツ、プランテイン(バナナのような実でバナナほど甘くない)、ココナッツ、カッサバを用い、一方で砂糖、植物性ガムや色素、天然フレーバーなどを一切使用しないで作った代替ヨーグルト”VAVVA”(写真6)という商品がある。フレーバーはフレッシュなフルーツを用いている。ピル・ナッツ (Canrium Overtum) は東南アジアの島国の海岸際に生育している木に生る実で、アーモンドのような形をしており、熟すると紫がかった黒い色になり、種子は炭水化物が約8%、たんぱく質は11.5-13.9%、脂質は70%含まれている。
プロバイオティックスは摂取しても胃の中の強い酸性の環境を経て腸に達するまでに失活するという可能性がある。上にあげた文献(2)では一部の菌は腸まで達することを示しているが、腸内の善玉を多くするにはプロバイオティックスを強酸性の環境を生き抜くように保護することが有用と考えられる。これを行ったのがGaneden社(現在はKerry社の部門)で “Ganeden30” はバチルス菌(Bacillus coagulans GBI-30, 6086) をコーティングすることにより腸に達することができるようにしたものである。このプロバイオティックは熱にも強く、現在世界で1,000以上の製品に使われて多くの機能性食品、飲料として販売されている。
プロバイオティックスは多くの会社で研究がすすめられており、機能性をもつ菌種が見つけられ、あるいは作り出されている。自然に存在する菌は特許が取れないが、新しい菌種、あるいは混合菌、菌の製造法、使用などに特許が認められている。上記のDannonの “Activia” に使われているビフィズス菌(Bifidobacterium animalis lactis DN-173 010/CNCM I-249)もその一つである。最近、プロバイオティックスの専門誌(3)によると、これまでヨーロッパとアメリカでプロバイオティックスの特許は2,500件申請がだされ、524の特許が認められている。これらは消化器系の疾病の予防、ミネラルの吸収、抗酸化剤として、あるいは免疫力の向上などの効果があるとされるものである。最近ではスポーツでの効果が期待できるとするプロバイオティックスも出されている。例えば、ADM社のビフィズス菌(Bifidobacterium animalis subsp. lactis CECT 8145) は代謝系の健康や皮膚の健康に効果がある菌として食品加工メーカーに提供されている。プロバイオティックスの分野では最近多くの菌の機能性が研究されており、今後の機能性食品、飲料への利用が期待されている。
(3) Probiotic Research in Therapeutics, pp 329-367 (2021) https://doi.org/10.1007/978-981-15-8214-1_15
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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