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2020.12.15
このコラムではアメリカの色々な食品に関する最近の傾向や興味ある製品を紹介してきている。このコラムの多くの読者は製品開発をしている方だと思うが、製品開発では製品ラインの拡張を考えることが多い。以前にピーナッツについて書いたときに、ピーナッツ・バターはアメリカの家庭のほとんどに置かれている定番製品であることに触れたうえで、ピーナッツ・バターを使った製品をいくつか紹介した。ピーナッツ・バターひとつとっても常に商品開発がされており、多くのピーナッツ・バター製品が市場にある。今回はピーナッツ・バターを例に取り上げて、どのように商品を拡張していくかを製品で示し、商品開発にかかるアイデア作りの一助になればと思い書いてみることにした。
ピーナッツ・バターのブランドでは、トップブランドはJ.M. Smucker's社の “Jif”(写真1) で、市場の約38% のシェアを持ち、Hormel Foods社の “Skippy”(写真2)ブランドが約18% のシェアで第2位、その他多くのブランドは2% 以下のシェアで競争している。J.M. Smucker社は社名ブランドの “Smucker's” ブランドをナチュラル、オーガニック製品としてだしている。これらのブランド中心に商品ラインの拡張がどのようにされているかを調べてみた。ピーナッツ・バターは単にローストしたピーナッツを細かく潰し、さらにすりつぶして作る。ピーナッツ・バターは昔は、そのように簡単な製品であった。最近ではこれがナチュラル製品として販売されている、例えば、“Smucker's” ブランドの “Natural” ピーナッツ・バター(写真1)である。成分はピーナッツと1% 以下の塩だけで、これを基にバラエティー豊かな製品に変えられていくのである。
食感を変える
ピーナッツ・バターはもともとスムーズでクリーミーな製品であるが、細かく砕いたピーナッツを加えたものが出されている。例えば、”Jif” ブランドの “Creamy” と “Extra Chunky”(写真2) がある。ピーナッツの細かく砕いたものが入っていると食べた時にクリーミーなピーナッツ・バターと顆粒状のピーナッツの歯ごたえが混ざってよりおいしく感じる。“Skippy” ブランドでは 競合ブランドである“Jif”を意識して同社の “Extra Crunchy” よりも更にクランチーな“Super Chunk”という商品を出している。
成分の変化(成分をマイナス)
ピーナッツ・バターはピーナッツと塩だけで作られた “Natural” な製品もあるが、ポピュラーな製品では、味やクリーミーさをよくするために、砂糖や乳化剤などを入れて製品の安定性を高めている。例えば、“JIF Creamy” の成分は、ローストしたピーナッツ、砂糖、(2% 以下の成分)モラシス、完全に水素添加した植物油(菜種と大豆)、モノ・ジ・グリセライド、塩である。ピーナッツ・バターは油と固体部分が分離しやすいため、乳化剤で分離しないようにし、さらに甘さを少し増やしている。食品はその時代で求められるものが異なる。最近のように健康志向の市場では、より健康的なものを消費者は買おうとする。それに対応して、多量に摂取すると身体に悪い影響のある成分を減らした製品が次々と開発されている。
特に最近ではオーガニックの製品が求められている。“Smucker's” ブランドでは “Organic” 製品(写真3)を出しているが、”Jif” ブランドと “Skippy” ブランドでは出しておらず、小さなブランドでは10種類以上のオーガニック製品がある。オーガニック製品の成分は当然ピーナッツと塩だけである。砂糖は最近ではできるだけ含有量の少ないものが求められている。そこで作られるのが低砂糖製品である。例えば、上記の “JIF Creamy” には2gの砂糖が加えられており、糖分は4gである。“No Added Sugar” の製品(写真4)では、成分は、ピーナッツ、パーム油、(2%以下の成分)塩だけである。この成分表を見ると、1サービング (33g) には炭水化物は7gで、そのうち3gが食物繊維で、糖分は2gである。塩もアメリカ人は一般に摂取しすぎであるので低塩製品を好む人もいる。そのために、通常のピーナッツ・バターには塩が2% 以下含まれているが、塩を使わない製品も
出されている。例えば、上記のSmuckers社の “Natural Creamy” 製品でも塩無添加の “Natural Creamy No Added Salt” という製品が展開されている。オーガニック製品でも “Once Again” ブランドでは砂糖も塩も使っていない “Unsweetened Creamy Peanut Butter Unsalted”(写真5)を出している。動物性食品により多く含まれる飽和脂肪酸は過剰に摂取すると健康にはよくない。ピーナッツ全体をペースト状にしたピーナッツ・バターは約半分が脂肪で、そのうち22% くらいが飽和脂肪酸である。“Skippy” ブランドでは “Reduced Fat Creamy Peanut Butter Spread” (写真6)として、“Jif” ブランドでも “Reduced Fat Creamy Peanut Butter Spread 60% Peanut” として、通常品よりも25%脂肪の少ない製品を出している。
成分の変化(成分をプラス)
以前にも機能性成分を加えた機能性食品を紹介したが、ピーナッツ・バターにもそうした製品がある。アンチョビとニシンの油から抽出したDHAとEPAを加えた、“Creamy Peanut Butter With Omega-3 DHA & EPA” (写真7)が “Jif” ブランドから出されている。最近はプロテインが多い食品が好まれる傾向があるが、ピーナッツ・バターには元々プロテインが7gくらい入っている。さらにプロテインを添加した製品が“Skippy” ブランドから発売されている。“Skippy Peanut Butter with Plant Protein”
(写真8) で “Creamy”と “Chunky” の両方で展開されている。これにはエンドウ豆プロテインが使われている。プロテインと亜麻仁油(オメガ-3)の両方を加えている製品もある。 興味があるのはプロバイオティックを入れたもので、Good Spread社がGaneden B30 (バチルス菌Coagulans)を加え、砂糖も使っていない製品 “Lifesaving Probiotic Peanut Butter – No Added Sugar”(写真9)を出している。プロバイオティックは免疫性を高める効果があるといわれている。ピーナッツ・バターにはプロバイオティックが消化器系で消化されるのを防ぐ効果があることを示唆する研究も発表されている。その他、シナモンやチョコレート、辛いチリを加えてフレーバーをつけた製品などもある。
サイズと携帯包装
製品は大きくしたり(拡大化)、小さくしたり(ミニ化)して新製品にすることがよくある。ピーナッツ・バターは粘液状の液体であるので、それはできないが、包装を変えて小さくすることはできる。”Jif” ブランドでは “Jif To Go” として個食サイズのカップに入った製品(写真10) を出している。これは子供たちがサンドイッチあるいはスナックの野菜スティックに使用するためにランチ・ボックスに入れておくと便利な製品である。”Jif” ブランドではパウチに入れた製品(写真11)も出している。これはピーナッツ・バターを押し出すことができ、スプーンを使う必要がない。
“Skippy” ブランドも形の違ったパウチで押し出せる製品(写真12)を出している。歯磨きペーストのチューブのような容器に入れた製品もいくつかある。15年くらい前にヨーグルトをチューブ状の容器に入れてヒットしたことがあり、その時は、“Skippy” ブランドなどがプラスチックのチューブ状の容器に入れた製品を出していたが、数年後には市場から消えている。これらの容器は持ち運びを容易にして、またスプーンを不要とする便利化製品である。
粉末化
非常に変わったものでは、粉末化したピーナッツ・バター製品がある。PB2 Foods社では、ピーナッツ・バターを絞って脂肪のほとんどを除き、それに砂糖を少し加えて粉末にした製品を、レギュラー、オーガニック製品、フレーバー付きのもの、プレバイオティックとプロバイオティックを入れたものなど、計5種類で展開している(写真13)。脂肪を除いているので、90% 脂肪フリー製品である。左から、“Powdered Peanut Butter”, “Peanut Powder with Cocoa”, “Powdered Peanut Butter Madagascar Vanilla”, “Organic Powdered Peanut Butter”, “Pre+Probiotic Peanut Powder” である。粉末であるので、スムージーに加えたり、料理にピーナツ・バターを使うところにその代替として使用することで脂肪の量を減らすことができる。

こうしてみると新しい製品を考えるときに、製品にまつわる色々なファクターを考えて、それぞれのファクターについて新しい製品を考察していくと、結構面白い製品ラインの拡張が可能となる。
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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