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2020.11.16
前回のコラムで取り上げた機能性スナック製品は消費者の健康志向に対応した製品である。一方野菜、果物は普段食べている食品で、ほとんどの人が健康的な食品であることを無意識的に認識している機能性食品である。しかし、野菜、果物には好き嫌いが多く、あまり食べない人も多い。炭水化物やタンパク質の多い食品だけを食べていると栄養的に偏って病気になる場合もある。昔、数世紀もの間、船に乗って長く航海する船員に壊血病になる人が多かった。特に、イギリスの海軍は世界に植民地を広げるために長い航海をすることが多く、壊血病は大きな問題であった。長い航海では乗組員の30% くらいまでが壊血病で死亡したといわれている。その原因は長いことわからなかった。1600年始めには柑橘類の果物が壊血病を防ぐということをある医者が指摘したが、ほとんど無視されていた。1700年代の中頃にも果物、野菜が壊血病を予防できると指摘した医者がいたが、こちらも無視されていた。その代わりに壊血病の原因は航海での疲れ、気候、その土地の空気などが原因であるとされてきた。1970年代の後半にギルバート・ブレーンという医師が海軍と一緒に旅をし、ライム・ジュースを船員に与えて壊血病にならないことを指摘し、その結果を海軍の上層部に理解させたところ、それ以降世界に派遣されたイギリス海軍の軍艦には必ずライム・ジュースが常備されることとなった。それでも壊血病はなくならず、20世紀に入るまで多くの探検や航海では引き続き壊血病は起こっていた。1932年にビタミンC不足が壊血病の原因であるということが発見されるまで壊血病は風土病とか悪い食品が原因であるとされていた。ビタミンCの発見を始めとし、その後多くのビタミンが発見されている。ビタミンは人間の身体が自ら作れないもので、食品から摂取しなければならない栄養素である。またミネラルも少量であるが我々の身体には必要な栄養素である。野菜、果物はこうしたビタミン、ミネラルが豊富に含まれており、重要な食品群である。野菜は生鮮あるいは調理されてサイド・ディッシュとして、果物はデザートとして食べられるが、嫌いな人、特に子供にできるだけ食べさせるように、最近ではそのものがスナックとして、あるいはスナック製品として販売されている。今回はそうしたスナック製品を取り上げてみた。

野菜、果物そのものをスナックにした製品としては野菜のスティックや果物をカットしてパックしただけの製品(写真1)がその代表例である。これらにはドレッシングやディップソース、あるいはクラッカーやその他のスナックが一緒に包装されていることが多い。野菜、果物を加工してスナックにした製品としては乾燥果物や、乾燥野菜がある。Rhythm Super Foods社は最初にケールを乾燥して、チップスとして販売した会社で、現在では人参をスティック状にして乾燥させたスナック製品、ビーツやパイナップルのチップス製品、カリフラワーやマンゴのバイツ製品など(写真2)数多くの乾燥スナック製品を出している。Ground Rules社は形が悪くて販売されないオーガニックのリンゴ、ビーツ、ポテトをスライスして特許の赤外線乾燥機を使った方法で乾燥させたビーツ、アップル、ポテトのチップス製品(写真3)を出している。これらには油は使われておらず、添加物も一切使われていない。Banana社は南米のバナナ農家とタイアップし、オーガニックバナナの生産の際、形の悪いものやサイズが合わないもの、少し傷がついたものなど生鮮バナナとして出荷できないバナナを集めて、それからバナナ加工製品を作ることを考えた会社である。バナナの生産地では約半分が輸出されないという。製品としては “Banana Bites”、 “Banana Brittle” (写真4)、“Banana Chips” の3製品を展開している。

最近マッシュルームをスナックにした製品がいくつか出されている。その代表的なものがShroom Snacks社が“Shrooms”ブランドで販売する生のホール、スライスやジャーキー、スナック、バー製品である。スナック製品としては “Crispy Mushroom Snacks” (写真5)として “pizza”, “spicy jalapeño”, “mesçuite barbeque”, “sea salt” の4つのフレーバーを展開している。

果物や野菜を他の成分と混ぜたスナック製品も多く出されている。その例としては、Made in Nature社の乾燥フルーツや野菜とナッツをミックスしたスナック製品 “Figgy Pops” と “Veggie Pops”(写真6) がある。“Figgy Pops” では、 “Figgy Pops Nutter & Jerry”, “Figgy pops Chicago Crunch”, “Figgy Pops Ch-Ch-cherry”, “Figgy Pops Cranberry Pistachio”, “Figgy Pops Apple Cinnamon” さらに “Mango Pops Sweet & Tangy”, “Razzy Pops Red Raspberry”, “’Nana Pops Banana-Rama” の “Supersnacks Energy Balls” と合計8種類の製品が展開されている。一方、“Veggie Pops” では、 “Broccoli Cheddar” と “Sour Cream & Onion” の2種類が展開されている。これらはすべて丸い球状のスナックである。これらにはプロテインと食物繊維が豊富に含まれている。例えば、“Veggie Pops Sour Cream & Onion” の成分は、カリフラワー、ヒヨコマメ、ヒマワリの種、キノア、カシューナッツ、白酢、イースト、粉末オニオン、粉末ガーリック、海塩、ディル、クエン酸で、7gのプロテインと4gの食物繊維が入っている。非常に健康的なスナック製品である。
Incredible Foods社の “perfectlyfree Fruit Bites”(写真7) は、フルーツレザーやフルーツグミよりもヘルシーな、ブドウの粒の形をした冷蔵スナックである。フルーツピューレや野菜ピューレを繊維でつないであり、外側はアルギン酸塩皮で光沢がある。貯蔵寿命は60日で、1食(7個)当たりの砂糖含有量は5g、繊維は2gである。フレーバーは、ミックスベリー、イチゴ・バナナ、パイナップル・マンゴー、キイチゴ・ザクロの4種類で、アレルギー対応の100% 植物由来なので、ヘルシーな子ども向けスナックである。
Rare Fare Foods社が出したスナック製品 “Off the Eaten Path - Snacks for Curios”(写真8) では、“hummus crisps”, “chickpea veggie crisps”, “veggie crisps”, “veggie puffs” (Spicy Cheddar), “veggie puffs”(Sour Cream & Onion) の5種類が出されている。最近の健康的なスナック製品の1つで、豆と野菜を使い、塩分も少なく、非常に美味しいスナックである。
ポテトチップスなどに比べてずっと健康的なスナックである。“veggie crisps” の成分は、米粉、ヒマワリ油、乾燥グリーンピーズ、乾燥黄色豆、乾燥黒豆、海塩、混合トコフェロール(保存料)である。Halen Brands社はカリフラワーを主成分としたクラッカーやプレッツェル(写真9)を出している。ビタミンCと食物繊維が豊富なカリフラワーは、ピザ生地で小麦粉の代わりに使用されたり、チルド料理でコメの代わりに使われていたりと、これまでにないほど多くの食品に使われるようになっている。
冷凍のスナック製品ではDel Monte Foods社による野菜、チーズ並びに植物性鶏肉代替製品がフィリングとして使われている、より健康的なポケット・パイ製品 “Veggiefull”(写真10) がある。“Spinach Artichoke Parmesan Pocket Pies”, “Broccoli Potato Cheddar Pocket Pies”, “Rosemary Garlic Plant-Based Chicken Pocket Pies”, “Plant-Based Philly Cheesestake Pocket Pie” の4種類がある。外側のクラストにはカリフラワーが使われている。チーズは代替え品ではなく本物のチーズを使っているのでヴィーガン製品ではないが、鶏肉を植物性たんぱくで代替えしており、最近増えている動物性たんぱくを減らし、植物性食品を食べようとする人を対象にしたものである。
果物や野菜のピューレをパウチ包装して子供が食べやすいようにした製品はいろいろと出されている。Stonyfield Farmsのオーガニックスムージー製品 “100% Real Fruit & Vegetable Smoothie”(写真11)は その一つである。 “Berry Cherry Blast”, “Strawberry Smash”, “Tropical Twist” の3種類で、野菜果物を1/2サービング摂取できる。“Tropical Twist” の成分は、マンゴ・ピューレ、ペア・ピューレ、バナナ・ピューレ、キャロット・ピューレ、ココナッツ・クリーム、濃縮レモンジュース(すべてオーガニック)である。


このように最近果物や野菜をスナックにした製品が多く出されており、スナックの健康志向が益々高くなっている。
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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