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2020.06.15
エネルギー製品という食品・飲料カテゴリーがある。調査によるとアメリカ人の多くがもっとエネルギーが欲しいと感じている。例えば学生などは夜遅くまで勉強するのに長時間頭をシャープに維持したい、トラックの運転手は長距離運転の途中で眠くならないようにしたい、スポーツ選手は自分のパーフォーマンスをもっと向上したいなど、多くの人が自分の生活をもっと楽しみ、元気に仕事をしたいと思っているものである。それにこたえるのがエネルギー製品で多岐にわたる商品が出されている。
最も多いのがエネルギー飲料である。エネルギー飲料はオーストリアのRed Bull社が1980年代の終わり頃、アメリカで “Red Bull” エネルギー飲料を出して以来急激に伸びたカテゴリーの飲料である。たいていのコンビニエンスストアに行くと、レジ付近にエネルギー飲料のショット製品が並んでいる。最も売れているのは “5 Hour Energy”(写真1) で、これにはビタミンB類(ナイアシン、ビタミンB6 、葉酸、ビタミンB12)とエネルギー・ブレンド(タウリン、リンゴ酸、N-アセチル-L-チロシン、L-フェニルアラニン、カフェイン)が入っている。 スーパーマーケットに行くと飲料の棚には多くのエネルギー飲料が並んでいる。500ml近くの大きなものから、50ml くらいのショット製品までさまざまなサイズとデザインのものが並んでいる。日本でも販売されている “Monster Energy”(写真2) が代表的なもので、これらの飲料には興奮剤であるカフェインや、スポーツのパーフォーマンスを上げるといわれるタウリンの他、身体のエネルギーレベルを上げるといわれるビタミンB類、アミノ酸などが含まれているのが一般的である。最近では、こうしたエネルギー飲料にも低砂糖、無砂糖製品、ゼロカロリー製品が増えている。
こうしたエネルギー飲料は通常合成成分を加えているが、自然成分で作ったエネルギー製品も増えてきている。Campbell Soup社のジュース部門が販売する “V8 + Energy”(写真3) がその好例である。これは50% ジュースに緑茶からのカフェイン、ビタミンB類を加えたものである。砂糖を使わずにスクラロースを使ったダイエット製品や、炭酸を入れたスパークリング製品も出している。 Live Real Farm社は乳飲料とフルーツジュースを使ったエネルギー飲料“Energy Drink with Real Dairy and Fruit Juice”(写真4) を出しているが、その成分は、スキムミルク、ジュース・ブレンド、ホエイタンパク、天然フレーバー、緑茶エキス(カフェインが入っている)、ビタミン類である。
“Strawberry Banana”, “Peach Mango”, “Berry Berry” のフレーバーがあり、プリズムパック入りである。Del Monte社は濃縮ジュースと白茶エキス、ガラーナ種エキス、生姜、スクラロース、ビタミンB類からなるジュース・エネルギー飲料 “Bloom Energy” (写真5)を出している。これは1缶(311ml)100カロリーで主に女性を対象にしたエネルギー飲料である。 これまでに紹介したエネルギー飲料は主としてカフェインを使っているが、カフェインを使わないエネルギー飲料も出されている。Monster Beverage社はそのほとんどの製品にカフェインを使用しているが、6年程前にカフェイン・フリーの “Monster Unleaded”(写真6) を商品化している。(但し今は販売していないようである。)これにはエネルギー・ブレンドとして、グルコース、タウリン、パナックス・ジンセン、L-カルニチンL-アルギニン、グルクロノラクトン、イノシトール、マルトデキストリン、ビタミンB類が使われている。
こうしたエネルギー飲料が大きな流行となったために、飲料だけではなく食品でも「エネルギーを得られる食品」と表示するものが多く出されている。人間がエネルギーを得るには、マクロ栄養素である炭水化物、脂肪、タンパク質に加え、ビタミン、ミネラルのミクロ栄養素、更にはエネルギー代謝に関係する栄養成分を摂取することが必要となる。バー製品を出すClif Bar社は山登りやハイキングをする人のために種々のバー製品を出していたが、最近はいろいろなスポーツをするときにエネルギーが出るエネルギー・バー製品(写真7)を22種類も出している。バー製品によって異なるが、これらには多くの大豆由来タンパクが使われている他、玄米シラップ、オーツ麦、米粉などのエネルギー源となる栄養成分や、オレイン酸などの良質な脂肪が使用されている一方、カフェインやタウリン、ビタミンB類などのミクロ栄養素成分は使われていない。 その他、市場には多くのエネルギー・バー製品が出されている。Clif Bar社はスポーツ選手用にゲル状にした90% オーガニックのエネルギー・ショット製品(写真8)も出している。これはマルトデキストリン、砂糖、水、濃縮フルーツジュース、海塩、クエン酸カリウム、クエン酸から作られたもので、電解質(ナトリウムとカリウム)が含まれており、炭水化物と相俟ってエネルギーを手早く得ることができる製品となっている。プラスチックのパウチに入っており、スポーツをしているときに、上の部分を切ってゲルを一挙に絞って手早く摂取することができる製品である。
Vega社はワークアウトをする人のためにエネルギーを得ることのできるスナック製品 “Sport Energy Bites”(写真9)を出している。この製品は、デーツ・ペースト、カシュ―・バター、オーツ麦粉、イヌリン、挽いたオール麦、ココナッツ油からの中鎖脂肪トリグリセライド、粉末亜麻の種、キノア・クリスプ、そば粉、粉末ココア(アルカリ処理)、粉末エスプレッソ・コーヒ、ヘーゼルナッツ、亜麻の種、チアの種、マカの根の粉末、ヒマワリのレシチン、海塩、天然フレーバー、ロースマリー・エキス、オーガニック・コーヒ・フルーツエキスなど多くの成分を使い、丸く1口サイズにしたものである。
これには2gのMCT(中鎖脂肪酸トリグリセライド)、21gの難消化炭水化物を含む炭水化物が入っている。MCTは効率的にエネルギーに代わり、難消化性炭水化物はエネルギー維持に役立つ。これを1つ食べると長い時間ワークアウトするためのエネルギーが得られるとしている。ナッツ類もタンパクが高く栄養素も多いので乾燥フルーツなどと混ぜ合わせたトレイル・ミックスをエネルギー製品として販売している会社も多い。例えば、“Gourmet Nut Power Up – High Energy”(写真10) は、乾燥クランベリー、クルミ、乾燥パイナップル、乾燥パパイア、ローストしたカシュ―ナッツ、バナナ・チップス、乾燥ココナッツ・チップスからなる。これにはフルーツからの炭水化物、ナッツからのタンパク質とオメガ-脂肪酸が含まれており、栄養化が高いもので、ハイキングや山登りの際にも持ち運びができるエネルギー食品である。

普通の食品でもエネルギーを得ることのできるものは多くある。穀類、豆類、ナッツ類、果物、卵、乳製品、オメガ-3-脂肪の多い魚、食物繊維の多い野菜などがその好例である。これらをうまく利用してエネルギーを効果的に得られる製品はここに載せたもの以外でもいろいろと存在する。
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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