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まめ知識/まめ知識トップ/売上トップ10の新商品から学ぶ
まめ知識
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2017.08.16
Information Resources Inc.が毎年発表する新商品のペース・セッターのトップ10というリストがある。これは昨年度アメリカで発売1年目になる商品で売り上げの最も高いもののトップ10を挙げるもので、2016年度のトップ10の商品は次の表にリストされているものである。


こうした発売1年目で売り上げが一挙に伸びる製品は販売力の強い大手食品会社の製品が多いが、中小企業の製品でも目新しく、特徴があり、またその時の市場傾向にあっていれば市場で成功するということを示している。最近の市場傾向としては、商品の透明性と健康性で、消費者の商品の選択に大きく影響している。



トップのDean Foodsの"Dairy Pure"ブランドの牛乳(写真1)は牛乳の消費が落ち込んでいる中、発売1年間で11億6,310万ドルもの売り上げをしている。これはDean Foods社がアメリカ最大の乳業会社であるだけでなく、牛乳は健康にいいということはもちろんであるが、このブランドでは"5-Point Purity Promise"というキャンペーンをして販売地域でのテレビ・コマーシャルや新聞広告をして、成長ホルモンの無使用、抗生物質の無使用をテストすること、牛乳が純粋であることをテストすること、栄養価のある飼料で育てられた乳牛からの牛乳、フレッシュな牛乳を低温での流通することを広告した。
これは最近の消費者の健康志向とフレッシュでできるだけ合成添加物や人工的な生産方法に反対する傾向に合致して、売り上げを伸ばすことができたといえる。7位の同社のクリーマーも同じ理由で売れている。

J.M. Smuckers 社の"Dunkin Donuts K-Cup"(写真2)は個食サイズのコーヒ・メーカー用のカップで、よく知られた"Dunkin Donuts"のブランドと、その流通をWal-Mart, Targetなどの量販店やSam's Clubのようウエアハウスクラブでの販売など、販路を広くしたことで1年目の販売額は2億ドル以上を達成している。この個食サイズのコーヒは便利さでアメリカではこの数年伸びている。"Not Your Father's Root Beer"(写真3)はイリノイ州の小さなクラフト・ビールの会社Small Town Brewery社が出した、少し変わった名前のスパイスがきいたソーダの味のビールで、最も早く売れるクラフト・ビールともいわれている。アルコール分は小瓶(355ml)は5.9%であるが、大きな瓶入り(650ml)は10.7%も入っている。



Mondelez Internationalの"Oreo"クッキーはよく知られているが、クッキーが薄い"Oreo Thin"(写真4)はオリジナルが9mmの厚さに対して、これは5mmで、カロリーはオリジナルが53カロリーに対して35カロリーである。クッキーの部分はオリジナルよりもパリパリ感がある。1サービングではオリジナルは3個で160カロリーで、"Oreo Thin"は4個で140カロリーと少なく、より健康的な感じが消費者に受けているのかもしれない。しかし、どちらにしても多く食べると同じである。

"Sara Lee"ブランドで"Artisano"の食パン(写真5)は大手のベーカリーBimbo Bakaries社の製品である。2015年の9月に出されたが、これにはハイフラクトース・コーンシラップや合成着色料を使用しないもので、特に健康に関する表示はしていないが、「ソフトなテキスチャーとリッチなフレーバーのホワイト・ブレッドで家族が好きになるパン」としているだけである。この包装は透明のプラスチップバッグで中身がほとんど見えるデザインである。クリーンなイメージが消費者に好まれたのかもしれない。

冷凍ピッザの"Screamin' Sicillian"ブランド(写真6)は地方の小さな会社であるPalermo Villa社が出した製品であるが、この包装デザインが他のブランドとは異なった非常に目につくもので、若い人が飛びつくデザインである。また、このピッザはインターネットでもよく取り上げられており、ネットでの評判も非常によく、それが売り上げの伸びにつながっているようである。このピッザの箱のデザインの口ひげは箱から切り出せるようになっており、若い人がそれをつけて会話の話題にする、ちょっとした遊び心もある。製品のおいしさと遊び心のコンビネーションでヒットしている。



Kraft Heinz社の"Oscar Mayer"ブランドが出したナチュラル製品"Oscar Mayer Natural"(写真7)も、最近の消費者の自然志向に合った製品である。これは合成添加物、合成保存料、ホルモン、合成フレーバー、合成色素、亜硝酸塩、硝酸塩を一切使っていないデリ肉製品である。

Sargento Foods社が出したナッツ、チーズ、乾燥フルーツが別々の仕切りに入ったスナック製品"Balanced Breaks"(写真8)は、最近のスナック製品でヒットしているもので、健康的なスナックとして、タンパク質が7-8gと多く含まれている。ナッツは最近健康的な食品として消費者に好まれて食べられている。

Blitz Weinhard Brewing社が出した"Henry's Hard Soda"(写真9)はトウキビからの砂糖を発酵させてつくったアルコールと天然フレーバーだけで使ったハード・ソーダである。クリーンなアルコール炭酸飲料でいわゆるクリーン・ラベル製品(透明性の高い製品)でもあるのでよく売れているのであろう。最近、ハード・ソーダがビールに代わって若い人に飲まれるようになってきている。"Orange","Ginger Ale","Cherry Cola","Grape"の4種類のフレーバーで出している。

バー製品について


アメリカのスーパーには多くのバー製品が並んでいる。バー製品には朝食用のシリアル・バー、スナック用のバー、エネルギー・バー、栄養・バーなど目的はいろいろである。バー製品で成分として多く使われているのはナッツ類である。

ナッツはプロテインが豊富でその栄養価が高い。そのためにプロテイン・バーやエネルギー・バーによく使われている。そのいくつかの例を挙げると、Post Holdings 社の"Power Bar"ブランドのバー製品"Plant Protein Nourishing Snack Bar"(写真10)はナッツを中心にしたバーで、"Dark Chocolate Almond & Sea Salt","Dark Chocolate Peanut Butter","Dark Chocolate Salted Caramel Cashew"の3種類がある。ナッツと豆タンパクをタンパク源として使っている。ThinkThin社は"Protein Nut Bar"(写真11)としてナッツを使ったバー製品を出している。Kind社の多くある"Kind"ブランドのバー製品の中には、ナッツを使ったエネルギー・スナック・バー製品(写真12)が多くある(18種類)。

これらの製品はナッツがそのまま使われており、味もおいしく、包装が透明であるので使われているナッツがよく見える。包装のデザインの良さにも注目されたい。

©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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