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2019.02.01
先回ではアメリカの健康志向がスナック製品にまで広がってきていることをチップス製品などを例に挙げて紹介した。今回はスナック製品の中でも、もともと砂糖分の多かったものをより健康的にした製品や、野菜果物、ナッツなどを使った健康的な製品を紹介しよう。
クッキーはアメリカのスナックでは最も好まれている製品で、スーパーマーケットの棚には多くの製品が並んでいる。中でもKraft Heinz社の出す “Oreo” クッキー(写真1) は代表的なものであるが、1サービング (34g 3個のクッキー) で160カロリー、砂糖が14g入っている。 40% が砂糖で、砂糖を食べているようなものである。たいていは3個以上食べるので、砂糖をかなり食べていることになる。
最近では健康志向の市場に合わせた、より健康的なクッキーが増えてきている。 Sejoyia Foods 社の “Coco Thins”(写真2)は今までにないタイプのクッキー製品で、ココナッツ、カッサバ、カシューナッツから作られたもので、グルテン・フリーで普通の砂糖は使われていない。その代わりにココナッツシュガーが使われており、普通のクッキーよりも糖分(1サービング29gで150カロリー、砂糖は10g)が少ない。
“Chocolate”、“Vanilla”、“Salted Caramel”、 “Lemon Zest” の 4種類のフレーバーが展開されている。Riverside Natural Foods社が出している “Made Good Cookie”(写真3)はグルテン・フリーのミニ・クッキー製品で、オート麦、タピオカ粉、ポテトスターチで作ったもので、1サービング (24g) で110カロリー、砂糖は6gと非常に少ない。“Apple Cinnamon”、“Chocolate Banana”、“Chocolate Chip”、“Double Chocolate” の4種類がある。 Lenny & Larry’s社の “Complete Cookie”(写真4)は1枚 (113g) あたり16gのタンパク質と10gの食物繊維を含んでおり、大豆、乳製品、卵を使っていないクッキーで、高フラクトース・コーン転化糖、コレステロール、合成甘味料、糖アルコール、遺伝子組換え成分も含まれていないと表示し、より健康的なクッキーとして位置づけられている。この製品は運動をする人を対象にしてジムやサプリメントの店で販売されていたが、最近では普通のスーパーマーケットにも置かれている。1サービング (57g 半分) では砂糖が12g入っており、運動をしている人にはそれだけの糖分が必要であるかもしれないが、これを普通の人が食べると健康的なクッキーといえるかどうか少々疑問である。
最近ポピュラーな低炭水化物ダイエット法にケト・ダイエットと呼ばれるものがあり、このダイエットに使えるクッキー製品が出されている。“Fat Snax”(写真5)はアーモンド粉を使ったもので、“Chocolate Chips” の成分は、アーモンド粉、バター、チョコレート・チップス(チョコレート、エリスリトール、イヌリン、ステビア・エキス、大豆レシチン、天然バニラ・フレーバー)、卵、ココナッツ粉、パーム・フルーツ油、エリスリトール、天然バニラ・フレーバー、キシリトール、キサンタンガム、ベーキング・パウダー、ベーキング・ソーダ、海塩、ステビアである。このクッキー(1個、20g)は、90カロリーで、脂肪分が8g (DV 12%)、炭水化物は実質量2gである(食物繊維2g、糖アルコール3gを除く)。最近アメリカの家庭でクッキーを家に置いているところが少なくなってきている。特にミレニアル世代の若い層はスナックとして甘いクッキーを敬遠しがちになってきている。
バー製品は最近スナックとしてよく食べられているが、健康的な製品も多く出されている。例えば、ReGrained 社のバー製品 “ReGained SuperGrain+”(写真6)はビールを作った後の穀類の残渣を粉末にして作ったユニークな製品である。創始者が大学院の学生の時に自分でビールを作っていたが、その残った残渣にはたんぱく質や微量栄養素(特にプレバイオティック繊維)が多く含まれていることに気付き、本製品が開発された。“Honey Cinnamon IPA – Immune Supporting Bar”、“ Chocolate Coffee Stout – Energizing Bar ”、“Blueberry Sunflower Saison Antioxidant Bar” の3 種類を出している。“Honey Cinnamon IPA” の成分は、ReGrained ブレンド(玄米クリスプ、ビール からの ReGrained 粉(バーレイ麦、小麦、ライ麦)、キノア・クリスプ)、タピオカ・シロップ、アーモンド、玄米シロップ、ヒマワリ油、ハチミツ、イヌリン(アガベ繊維)、デーツ・ペースト、生マヌカ・ハチミツ、ソラマメ・タンパク、シナモン、海塩、天然フレーバー、ローズマリー・エキス、ローズ・ヒップ、ターメリックである。
Absolutely Gluten Free 社は “Tahini Bar super seed energy bar”(写真7)という名の、ゴマを中心にしたエネルギー・バーを出している。バー1本で 100 カロリーにしてある。コーシャー適合製品であり乳製品を使用していない。“Tahini” はギリシャやアラブ料理によく使われる練りゴマで、フムスなどに使われる。ゴマは銅、マンガン、マグネシウム、カルシウム、リン、鉄、亜鉛、モリブデン、ケイ素などのミネラルを含み、コレステロールを下げる植物性ステロールが含まれており、心臓の健康、血圧、ホルモン・バランスなどを維持し、脂肪の燃焼にも効果がある。“Pistachio”、“Cocoa Nibs”、“Vanilla” の3つのフレーバーで出している。
PepsiCo社の “Naked” ブランドは冷蔵ジュース製品のブランドであるが、このほど同じブランドで新しく健康的なバー製品 “Machine”(写真8)を発売している。これらはジュース製品と同様のコンセプトに基づき、フルーツ、ナッツ、野菜でつくられたもので、“Blue Machine”(アーモンド、アップル、ブルーベリー、ピスタチオ、クランベリー、キャロット、スイートポテト)、 “Red Machine”(アーモンド、アップル、ピスタチオ、クランベリー、キャロット、チェリー、ほうれん草)、 “Green Machine” (アーモンド、ピスタチオ、デーツ、マンゴ、ケール、ブロッコリ、グリーン・アップル)の3種類をだしている。
最近豆に対する興味が高く、豆を使ったスナックも増えている。豆はたんぱく質が多く健康的なスナックを作るのに適している。特にヒヨコマメ (Chickpea) がよくスナックなどに使われるようになっている。Biena Snacks社の “Chickpea Snacks”(写真9)は、ローストした
ヒヨコマメにフレーバーを付けたもので、“Cinnamon Crunch”、“Honey Roasted”、“Sea Salt”、 “Rocking Ranch”、“Habanero”、“Barbeque”、“Sour Cream & Onion”、“Dark Chocolate”、 “Salted Chocolate”、“Milk Chocolate” の10種類で、ビタミンも加えられており、タンパク質と食物繊維を多く摂取できるスナックである。WAT・U・SEE Foods社はヒヨコマメを粉にしてパフ・スナック “Popped Chickpeatos”(写真10)を出している。“Lightly Salted”、“Zesty Ranch”、“Caramel Sea Salt” の3種類のフレーバーで出している。
チア、キヌアなどの古代穀類は最近多く生産されるようになり、スナックなどにも使われるようになった。Unilever社は、ココナッツまたはコーンミールをベースに、キノア、アマ、ゴマ、チアシードを使用し、“coconut curry”、“maple bourbon”、“cocoa chipotle”、 “pineapple coconut rum” という大胆でユニークなフレーバーのスナック “Growing Roots”(写真11) を出している。1食当たりタンパク質2g、食物繊維2~3g、糖質5~7gを含み、オーガニックで、グルテン・フリーである。“Growing Roots” は、栄養に富む食物へのアクセスを都市農業で広げるという、New York Cityで始まったローカル・イニシアチブから生まれたもので、この会社は売上の半分を米国都市農業の支援に寄付し、地球を犠牲にしないという社会的ミッションを担っている。

“Peter Rabbit” はイギリスの童話作家Beatrix Potterの有名な作品であるが、Pumpkin Tree Snacks社はそのキャラクターをライセンスし、“Peter Rabbit Organic” ブランドで子供用の健康的なスナック製品 ”Super Oats & Seeds(写真12)を展開し、”Apple & Blueberry”、 “Banana & Mango”、“Banana p& Strawberry” の3種類のフレーバーを出している。このように健康志向のスナックにはナッツ類が多く使われている。
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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